2026.7.23足利市を中心とした短時間集中豪雨災害視察および緊急要望

足利市を中心とした短時間集中豪雨災害、立憲民主党栃木県連が緊急要望 ―― 現地視察で「爪痕」確認、生活再建とインフラ復旧求める

足利市、佐野市を中心に甚大な被害をもたらした豪雨災害から約1週間。立憲民主党栃木県連の大貫毅代表(県議)、渡辺典喜幹事長(県議)、中塚英範副幹事長(宇都宮市議)らは7月23日、足利市内で現地視察を行い、深刻な被害状況を確認した。
その後、一行は県庁を訪れ、笹川・赤岩両副知事に対し、被災者の生活再建やインフラの早期復旧を求める緊急要望書を提出した。

 

「土砂の跡」が語る濁流の脅威

要望活動に先立ち、県連役員らは足利市内の被災現場を丹念に歩いた。発災から時間が経過し、市街地の冠水は解消されつつあるが、視察した一行が目の当たりにしたのは「消えない爪痕」だった。

道路や歩道、さらには住宅の庭先まで、至る所にうっすらと茶色い砂が堆積し、かつてそこまで濁流が押し寄せたことを生々しく物語っていた。路傍には損壊した家屋から運び出された畳や家財道具が「災害ゴミ」として山積し、個人商店では泥にまみれた製品を整理する姿も見られた。

一行は、大規模ながけ崩れが発生した小俣地区や、激しい水流で路面が大きく削り取られた河川沿いの道路崩落現場などを視察。一部のアンダーパスでは依然として排水が追いつかず、水が残ったままとなっていた。

大貫代表は「道路一本を隔てて被災の明暗が明確に分かれている。現場を見ると、一見穏やかに見える場所にこそ深刻な苦悩が隠れていると痛感する」と語った。

   

 

生活再建とインフラ復旧、6項目を提言

視察後、県庁で笹川・赤岩両副知事と面会した大貫代表と渡辺幹事長は、生活再建支援や公共インフラの早期復旧など6項目からなる要望書を手渡した。

大貫代表は、昨今の物価高や建築資材不足を背景に「資材がなかなか手に入らず、自宅の再建に不安を抱える被災者が多い。民間事業者と連携し、スムーズな再建を後押ししてほしい」と強調。
また、国に対しても激甚災害指定に準ずるような強力な財政支援を働きかけるよう求めた。渡辺幹事長も、ボランティアセンターに寄せられたニーズが60件を超えている現状に触れ、「目に見えない床上浸水などの被害はさらに多い。暑さの中、行政のきめ細かな対応が必要だ」と訴えた。

  

 

県側「二次被害防止とケアに全力を」

要望を受けた笹川副知事は、まず2名の尊い命が失われたことに哀悼の意を表し、「二次被害を絶対に起こさないよう、現地を含めしっかり対応したい」と回答。被災者のケアについては、当初から保健士を派遣しているとし、「活用できる制度はすべて使い、国とも協議して全力で取り組む」と述べた。

また、復旧の大きな課題となっている土砂災害について、赤岩副知事は「県土整備部が昨日から現地調査に入っており、県内64カ所のがけ崩れを確認している。非常に危険な箇所から着手するが、完全復旧には時間を要する見込みだ」と現状を報告。当面は荒天時の早期避難情報の提供など、足利・佐野両市と緊密に連携する方針を示した。

大貫代表らは最後に、猛暑下で復旧作業にあたる被災者や、対応に追われる行政職員の健康管理・負担軽減についても十分な配慮を求め、県側と協力体制を維持していくことを確認した。

 

 

緊急要望内容

1.被災者の生活再建支援
(1)住宅被害及び土砂災害等の実態を迅速かつ正確に把握し、被災者に寄り添った支援を行うこと。
(2)県の「被災者生活再建支援制度」の積極的適用も視野に、被災自治体並びに被災者への必要な支援を早急に講じるとともに、国に対して「被災者生活再建支援法」に係る支給対象の拡大を要望すること。
(3)住家被害認定調査及び罹災証明書の交付が迅速に行われるよう、市町に対する人的・技術的支援を積極的に行うこと。
(4)高齢者、障がい者、子育て世帯など災害時要配慮者への見守り、健康管理及び心のケアを充実させること。
(5)災害廃棄物(被災ごみ)の円滑な処理に向け、市町と連携し仮置場の確保、広域処理を含めた受入体制の整備及び処理費用に対する必要な支援を講じること。
(6)物価高騰や資材不足等の状況を踏まえ、住宅の復旧及び生活再建に必要な資材、設備及び生活必需品の円滑な供給が図られるよう、建設業界、流通事業者、メーカー等の関係団体と連携し、安定供給体制を構築すること。

2.公共インフラの早期復旧
(1)県管理道路、橋梁、河川、砂防施設及び法面等の被害状況を早急に調査し、応急復旧及び本格復旧を迅速に進めること。
(2)道路の通行止めや交通規制が長期化しないよう、国、市町及び関係機関と連携し復旧体制を強化すること。
(3)河川の堆積土砂、流木及び漂着物の除去を速やかに実施し、再度災害の防止に万全を期すこと。

3.農業及び地域産業への支援
(1)農地、農業用施設、農作物等の被害状況を早急に把握し、営農継続に向けた支援を実施すること。
(2)市町から要請があった場合には、「栃木県農漁業災害対策特別措置条例」を迅速に適用するとともに、適用に至らない場合であっても県独自の支援策を積極的に講じること。
(3)浸水等の被害を受けた中小企業・小規模事業者の事業継続及び早期再建のため、県制度融資や信用保証料補助等の支援制度について特例措置を講じること。

4.国への支援要請
(1)災害の規模及び被害状況を踏まえ、災害復旧事業に係る財政支援について国へ積極的に要望すること。
(2)激甚災害指定又はこれに準ずる支援措置の適用が見込まれる場合には、被害状況を速やかに取りまとめ、国に対し強く働きかけること。
(3)被災自治体と連携し、国の各種復旧・復興支援制度を最大限活用できるよう支援すること。

5.防災・減災対策の強化
(1)今回の豪雨災害を検証し、県管理河川及び土砂災害警戒区域の緊急点検を実施するとともに、危険箇所の早期対策を進めること。
(2)河道掘削、堆積土砂の除去、樹木伐採、排水施設整備など流域治水の取組を加速し、防災・減災・国土強靱化を一層推進すること。
(3)防災・減災、国土強靱化関係予算を最大限活用し、県管理施設の復旧及び再度災害防止対策を早急に進めること。
(4)近年頻発する局地的豪雨や線状降水帯等による災害を踏まえ、市町との連携による避難情報の伝達、防災情報の発信体制及び住民への防災教育を強化すること。

6.被災者の健康管理及び相談体制の充実
(1)連日の高温・多湿の状況を踏まえ、医師、保健師、看護師、精神保健福祉士等の専門職を必要に応じて派遣し、避難所や在宅被災者の健康管理、熱中症対策、感染症対策及び心のケアに万全を期すこと。
(2)被災自治体と連携し、高齢者、障がい者、乳幼児のいる世帯など災害時要配慮者の見守り体制を強化すること。
(3)被災地における飲料水、冷房設備、スポットクーラー、冷風機等の確保に努め、復旧作業に従事する住民及びボランティアの熱中症予防対策を強化すること。
(4)被災地で昼夜を問わず災害対応に当たる自治体職員等が継続的に支援活動を行えるよう、県として必要な人的支援や広域応援体制を確保するとともに、職員の健康管理及びメンタルヘルス対策に十分配慮すること。
以上